


雑談エッセイ
羊の国で羊と暮らす~羊はどこから?~
前回の「準備編」に続いて今回は「羊はどこからやってくるのか?」です。
羊ってペットショップで売ってるわけじゃないし、そもそもペットショップ自体が無いし、「店子募集」という看板をあげたところで希望者(羊)がやってくるはずもなく。近所で羊を飼っている皆さんに聞いて情報を集めました。それによると・・・。
1.トレード・ミー(Yahoo!オークションやeBayのようなニュージーランド国内最大手のサイト)
2.地元の獣医さん
3.地元のファームに直接交渉
4.Facebookやコミュニティ・ペイパーで「子羊求ム」と宣伝する
結局一番敷居が高いであろう「3」を選択しました。なんでかっていうと「メリノ・シープ」「生まれたての子羊」、そして「Orphan(お母さんがいない子)」を希望していたからです。ニュージーランドでは何百頭の子羊が春に生まれてくるんですが、そのうち5%くらいはOrphanになります。出産時にお母さんが死んでしまったり、育児放棄をされたりなど。 そういう子たちはその場で命を絶たれ、回収トラックで工場に運ばれペットフードやラム・スキン、またはガーデニングの飼料になったりします。「だったらください」という希望があったのと、生まれたての子羊だとすごく懐くと聞いていたのと、個人的にファーミングに興味ありありなので「あわよくばファームの見学をさせてもらおう」という下心もあったことは否めません。
なかには敷居が高すぎて、ゲートで引き返したファームも数軒ありましたとさ。「絶対バカにされるっ!」とか思って。 そもそも羊はニュージーランドでは産業動物なので、「ペットにして上げ膳据え膳で思いっきり甘やかしたい」なんて言おうもんなら、国の経済のバックボーンを支えている誇り高きファーマーさんに「ふざけたことを言うなっ!」と怒られるんじゃないかと思ったのです。 でもまあ、それは杞憂におわって「あー、はいはい。いいよ~。」と皆さん聞いてくださいました。どこまで本気にされたかわからないけども。
そうこうしているうちに8月になり、周囲のファームが子羊でにぎやかになってきます。「今日こそ連絡があるに違いない!」とわくわくしながら普段サイレントにしている携帯のボリュームを思いっきりあげて待っていました。毎日毎日待っていました。着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編むくらいの勢いで待っていました。実際に最初の子羊2頭(こまち&チャーリー)が来たのが9月の終わりだったので、途中何度も諦めかけたことは容易に想像していただけるかな?
なので1.のトレード・ミーも毎日チェックしていたし、2.の獣医さんに行くたびに「すぐ連絡くださいね~。」って言ってたし、4.のFacebookのページにも宣伝を出そうかどうか迷っていました。でも、心の底では「きっとどっかのファーマーさんが覚えていてくれる」と諦めきれず、ため息をつく毎日。 近所の人からも「よかったらうちのビリー、引き取る?」なんて言われるほどに。(ビリーとは隣の家のペットの羊) 全身から「羊が欲しい」オーラが出てたんだろうな~。どんなオーラですか、それ。
金額に関して疑問をもたれる方のために・・・。1.と4.はおそらく一頭あたり30ドル~50ドル。(3千円~5千円) きっとお母さんがきちんといて、健康状態も悪くない子羊さんたちだと思います。 2.と3.は無料であることがほとんどかな~?健康状態にもよるんだと思うんですけど。
そんなわけで、子羊シーズンのすごく最後のほうギリギリでようやく電話がかかってきて、結局可愛い子羊4頭に恵まれました。 今年はもう諦めた、と思ったことも何度もあります。 1.とか4.の選択肢を選べば確実だったんですが、運命にまかせたかったっていうのも大きな理由です。 おかげで何100万頭の1の確率で出会えた子達。 ニュージーランドに移住して13年目。 ようやく出会えた~。
次は「子羊の世話」に続きます。
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