


BLOG / 羊
こまちの旅立ち
久しぶりの更新がこんな内容で大変残念ですが、こまちが虹の橋を渡りました。来月で2歳になる若さで。

旅立つ24時間前のこまち
もちろん解剖していないので死因は確認されたわけではないのですが
検便の結果から、恐らく「腸閉そく」だろうとのことです。
こまちが旅立つ4日前あたりから、フードに興味を示さなくなっていました。
こんなことはたまにあるんです。
3日間くらいフードには見向きもせず、牧草をつまんで過ごす期間が。
今回も絶対それだろうと、わたしは疑ってもいなかった。
その間、こまちがどんなに痛みに苦しんでいたか、想像さえもしていませんでした。
3日間様子を見て獣医さんに来てもらおう、と思っていたのですが4日目がたまたま日曜日でした。
まだこまちは普通にみんなと一緒に歩いて、大きいほうのパドックへの往復を繰り返していたので
「救急で(獣医さんを)呼ぶほどではないだろう」と、心配はしていたけど行動へは移さなかったんです。
日曜日の午後から、やたらと水を飲みたがるようになったので
さすがに深刻かもしれないと思い始めたのに、早く月曜日になれと祈ることしかできませんでした。
このとき、まだわたしは
「変な種類の草を食べて、毒素が発生しているのかな。注射できっと治るから、もうすこしの辛抱だよ。」
なんて話しかけていて、こまちを失うことになるなんて考えてもみなかったのです。
ごはんを食べない以外は、全て通常通りのこまちでしたから。
月曜日になり、獣医さんが来て、「ああ、もうこれで大丈夫だ」と思ったのはほんの束の間。
「腸重積を起こしている可能性が高いです。抗生物質と痛み止めを打ちますね。」と言われました。
腸重積とは腸の中に腸が入り込み重なってしまう状態だそうです。
その部分の機能がストップするため、食べ物をうまく消化することができません。
羊には割と一般的に起こり、幸運であれば3日くらいで腸が元通りに戻ってくれるそうですが
そうじゃない場合は死に至ります。
私ははっとしました。
思い起こせばこまちが我が家に来て2カ月後くらい。
すくすくと元気に育っていた子羊こまちが、急に座り込んで2日ほど元気がなかったことがあります。
その後も1日程度ですが、こまちはたまに食欲不振に陥ることもあり、
先天的に腸重積を起こしやすい体質だったのかもしれません。
そんなことわかっても今更・・・ですが。

哺乳瓶で育てました。
こまちをとりあえず暖かい薪置き場に移動させ、栄養剤を飲ませて安静にしてもらった時点で気付きました。
息はしてたけど、「生きる意志」はもうそこには無かったのです。
獣医さんが痛みどめの注射を打った時点で、いや、わたしたちが処置を始めた時点で
「こまちが生きることを諦めた」瞬間が確かにありました。
薪置き場でのこまちに、どうしてあげるのが彼女にとってベストなのか全くわかりませんでした。
彼女はもう、わたしに何の意思表示もしなくなっていました。
静かに成り行きを見守っていたファームのみんなに晩御飯をあげて、戻ってくるとこまちはもう息をしていませんでした。
また上手におくりだしてあげることができなかった。
そんな気持ちでいっぱいで、抱きしめて号泣しているときに止まらなかった「ごめんね」。
彼女の「動物」としての尊厳を邪魔してしまったのではないか。
そんな問いに、一生答えは出せないかもしれません。
物言わぬこの子たちの「生」を預かるということは「死」もきちんと預かってあげること。
その責任の大きさを、改めて受け止めています。
与えるよりも、与えられることのほうがはるかに多い動物たちとの暮らし。
「ありがとう、こまち」

子羊こまち(後)と子羊チャーリー(前)。
また帰ってくるときは、迷わずまっすぐ走ってくるんだよ。
この頃みたいにね。
Related Posts